■はじめに
USB認証試験において、被試験機材がEmbedded Hostの場合、Chapter 6のテストの実施が必要となります。
このテストではMQP Electronics社の販売しているUSB-PETという測定器を使用します。
http://www.mqp.com/products.htm
割と安価に購入することができるので、Embedded Host搭載機材を数多く開発しているところでは、購入して開発時に使用している事もあるかと思います。
弊社で販売しているわけではありませんが、購入したけども使用方法がわからないという問い合わせが過去にありました。
今回は、このUSB-PETを使用してのChapter 6テストをする方法を記したいと思います。
■準備
MQP Electronics社のUSB-PETには専用のケーブルが付属してきます。Aケーブル、Bケーブルなどと名付けられており、ケーブルにラベルで抵抗値が記されていますので、まずはその抵抗値を確認します。
測定器をコントロールするPCにMQP Electronics社のホームページよりダウンロードした測定用のソフトウェア(GraphicUSB Software)をダウンロード・インストールしておきます。
ソフトウェアは頻繁にアップデートしていますので、試験前には必ずMQP Electronics社のホームページを参照して常に最新のバージョンのソフトウェアを使用するようにします。
■ソフトウェア設定
GraphicUSBを起動すると以下の画面となりますので、「PET」とかかれたボタンを押下します。
※画面はイメージです。
次に、「Unit Under Test」と書かれたテストの選択肢のドロップダウンリストからEmbedded Hostを選択します。
するとその試験で必要な被試験機材の仕様を入力する項目がハイライトされます。
被試験機材の仕様に沿ってそれらを入力していきます。
次に、画面下部の「Test Selection」という内容を選択します。
画面上部にて設定した内容によって、テストの内容が変わることがありますが、Session Support/SRP/SDP無しの設定の場合、上記画面のように選択します。
■テスト
Session/ADP/SRPに対応していなければ、以下のテスト内容となり、それぞれ該当するものを選択します。
6.7.2 A-UUT Initial Power-up Test
→ CT_A_PUT.mpet
6.7.4 A-UUT VBUS Voltage and Current Measurements
→ CT_A_VBUS.mpet
6.7.17 EH with no Session Support State Transition Test (Standard-A)
→ CT_A_ST_EH_NOSESS.mpet
6.7.22 A-UUT “Device No Response” for connection timeout
→ CT_A_DevNoRes.mpet
6.7.23 A-UUT “Unsupported Device” Message
→ CT_A_UnsupDev.mpet
あとは実行するだけです。
画面下にある「RUN」ボタンを押下するとテストが開始されます。
それぞれのテスト項目を全部選択して実行すると、上から順にテストが実行されていきます。しかし連続してテストを実行すると、FAILとなる事があります。その場合には個別に選択してテストを実行してください。連続して実行してFAILとなった項目でも、単体で実行した場合にはPASSとなることがあります。前のテストが終了した状態が影響してFAILとなっている場合がよくあります。それぞれの項目を単体で実行してもPASSにならない場合はFAILとなりますのでログにてFAILとなった内容を確認してください。また総合判定がPASSでも、ログ中に赤字にて問題個所が表示されていることがあります。ログに赤字で表示される事の無いようにしなくてはなりません。
下記テスト項目はエラーメッセージを表示するテストとなります。
6.7.22 A-UUT “Device No Response” for connection timeout
6.7.23 A-UUT “Unsupported Device” Message
これらのテストを実行した場合、規定の時間内に該当するエラーメッセージを表示しなければなりません。メッセージが表示されたら、エラーメッセージが表示された瞬間に押下するボタンが表示されていますのでそのボタンを押下します。問題がなければPASSとなります。
エラーメッセージ系のテストのメッセージ表示については、以前のブログにて紹介しておりますので、下記を参照していただけると幸いです。
記事の内容は車載系による説明となっていますが、車載系以外でも参考になるのではないかと思います。
○ブログタイトル「車載機のUSB認証試験で関わっているメッセージ」
https://www.ninshoshiken.com/usb-car-navigation-test-messages/
■Chapter 6以外のテスト
MQP Electronics社のUSB-PETは、Embedded Host のChapter 6以外のテストでも使用します。
BC1.2に対応しているかの判定、およびBC1.2のテストでも使用します。
■まとめ
MQP Electronics社のUSB-PETは、USB認証試験において、DEVICE/HOST両方で使用します。
毎年1回、MQP Electronics社による校正が必要ですが、オシロスコープなど他の測定器に比べて安価に購入できます。
Embedded Hostを多く開発している会社などでは1台あると認証試験にてスムーズにPASSすることができると思いますので、余裕があれば購入をおすすめいたします。
<参考元>
・MQP Electronics http://www.mqp.com/index.html
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