かつてExpressCard の認証試験がありました。
以降に記述するように事実上ほぼ消滅してしまいましたが、パソコンの歴史上SDIOを除いて現在最後と思われるカードによる機能拡張方式なので、記録として残したいと思います。
全盛期
・Windows Vistaが発売され、ノートパソコンの値段もだんだんと手ごろになってきたころ、ExpressCardというものを搭載したノートパソコンが多くみられるようになりました。ノートパソコンの拡張カードといえばそれ以前はPCカードというものがありました。
当初PCカードは、LANやWAN、USBやIEEE1394などを接続できる拡張カードなどが各種販売されていて、ノートパソコンの拡張用としてよく使用されておりました。
自分も当時LANカードやWANカード、USBのカードやIEEE1394のカードなど、持っていたノートパソコンに機能の無い、または拡張する為に買った記憶があります。そのPCカードの後継規格がExpressCardです。あまり普及しなかったので、名前を聞いた事がある人は少ないかもしれません。
ExpressCardは、従来のPCカードとほぼ同じくらいの大きさの54カードと、少し細くなった34カードが存在しました。大きさの大きい54カードスロットでは34カードも使用できました。その逆はできませんでした。ExpressCardスロットを搭載したノートパソコンはいくつか発売されていましたが、ExpressCardの拡張カードがあまり発売されませんでした。
その大きな理由は、USB3.0が搭載され始めた事と、2011年ごろからultrabookというものが出始めたからと思います。Ultrabookでは本体がかなり薄く作成されていて、そこにExpressCardのスロットを確保するのが難しいと思われました。その代わりUSBポートが複数搭載しUSBにて拡張できるようにしていたようです。
さらにExpressCardは従来からあったPCカードとは互換性が全くなく、ExpressCardにてPCカードが使用できない事も普及しない原因だったかと思われます。少々大き目のノートパソコンでは、2スロットあるうちの片方がPCカードでもう一方がExpressCardという両方使えるようにした製品も見かけたことがあります。
またExpressCardそのものは、市場ではカードリーダーは数多く見かけましたが、それ以外の機器はあまり見かけませんでした。海外のメーカーでは色々と作っていたようですが、日本国内ではほとんど見かけませんでした。
スロットが付いていても使用するデバイスが売っていないのでは、普及するはずもありませんでした。
試験について
さて、そのExpressCardの試験ですが、HOSTの方とExpresCardの方の試験がありました。
日本での試験環境は、HOSTのみでしたのでHOSTについて記載します。
HOSTでの試験内容は以下の内容でした。
- Interoperability Test
(5種類のGold Module(※1)で問題が発生しないこと) - USB Interface
High Speed Signal Quality Test
Full Speed Signal Quality Test - PCI Express Interface
Signal Quality
接続互換性を見るInteroperability Testと、信号の品質をみる試験のみでした。
試験ではあまりFAILする事はありませんでした。
記憶に残っているのは、SignalQualityを測定するには、HOSTから測定用の信号を出さないといけないのですが、その測定用の信号が出なくて測定できない事が良くあり、困ったことが印象に残っています。
その後
Windows8が発売される頃には、試験の数も減っていて、ついにはまったく試験の依頼が無くなりました。その頃市場に出ているPCを見ると、インターフェースとしてはUSB3.0が複数ついているものが多く販売されていました。ExpressCardがなくてもUSB3.0があれば、問題はなかったという事だと理解しました。
Windows10に主力が移った現在となっては、ExpressCardスロットを搭載したPCは存在が確認できません。さみしいですが、完全にExpressCardの時代は終わってしまったようです。
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