Suspend Mode Powerと、Powered’ State Suspend Mode Powerの違いについて

●はじめに

今回はUSB認証試験についてのお話です。
USB認証試験には、いろいろなテストがあります。
その中で多いのがDeviceのテストですが、そのDeviceのテストで、お客様からのご質問の多い
Suspend Mode PowerとPowered’ State Suspend Mode Powerについて説明をしたいと思います。

●Power Current Testについて

DeviceのUSB認証試験の際に、さまざまな状態における電流値を測定するPower Current Testというものがあります。
その試験では、以下の項目をテストします。
・Operating Power
・Unconfiguration Power
・Configuration Power
・Suspend Mode Power
・Suspend Mode Power with Remote Wakeup
・Powered’ State Suspend Mode Power

これらの試験では、それぞれの状態で電流値を測り、規格を満足しているかをテストします。

ここで分かりにくいのがSuspend Mode PowerとPowered’ State Suspend Mode Powerで、「何が違うのか？」とのご質問がたびたびあります。
確かに単語だけでは違いが分かりにくいと思います。
Suspend Mode PowerとPowered’ State Suspend Mode Powerは何が違うのでしょうか？

●Suspend Mode PowerとPowered’ State Suspend Mode Powerについて

Suspend Mode Powerとは、接続したPCがPower Onの状態で、被測定機器が正常に認識されているときに、PCをサスペンドに移行後、被測定機器に流れる電流を測定します。

Powered’ State Suspend Mode Powerとは、接続したPCがPower Onの状態で、被測定機器が認識されていないときに、PCをサスペンドに移行後、被測定機器に流れる電流を測定します。

要するにサスペンドに移行する前に、被測定機器が認識されているかいないかの違いになります。

※実際の試験ではPCをサスペンドに移行するのではなく、USB20CVというツールを使用してこれらの状況を再現しています。

USBの規格に以下のようなDevice State Diagramが掲載されています。

 

 

この表にSuspend Mode PowerとPowered’ State Suspend Mode Powerをそれぞれ記載すると以下のような赤い線で表せます。

 

実際にPowered’ State Suspend Mode Powerを測定するには、通常ですと状況を作り出すのが難しいため、測定ツールで作り出した環境にて測定しています。（USB20CV)

以下の項目をUSB20CVにて測定します。

・Unconfiguration Power
・Configuration Power

Configuration Powerを測定後ツールを終了せずに、被測定機器を抜き差しすればPowered’ State Suspend Mode Powerが測定できます。

詳しくはUSB-IFのWEBサイトにございますので、ご参照ください。

https://compliance.usb.org/index.asp?UpdateFile=Battery%20Charging#1

 

●参考文献およびツール

USB2.0 Specification

https://www.usb.org/document-library/usb-20-specification

USB-IF — USB20CV

https://www.usb.org/document-library/usb20cv-x32-bit

https://www.usb.org/document-library/usb20cv-x64-bit