概要
Bluetoothは電子機器同士を無線で接続してデータ通信するための近距離無線規格です。スマートフォンには必ず搭載され、Bluetoothヘッドフォンと接続して電車内などでコードに邪魔されずに音楽を聴くことができます。さらに多くのカーナビにも搭載されていて、スマートフォンあるいは携帯電話とBluetoothによってハンズフリー接続することで、運転中に電話することができます。
ユーザーはBluetooth機器を購入すればすぐに使用することが可能ですが、製造メーカーあるいは販売企業はロゴ認証手続が必要で、その際に送受信性能試験(通称RF試験)が伴います。
今回はロゴ認証手続に伴うRF試験の実施方法と、試験用サンプルに必要な改造について説明いたします。
Bluetoothロゴ認証でのRF試験方法
BR/EDRのBluetooth RF試験では、Bluetooth ICをDUT (Device Under Test)モードに投入する必要があります。外部PCを接続してICベンダ提供のテストツールを用いてDUTモードに投入する方法と、PC、タブレットやカーナビ等表示および入力機能が高い機器では、装置自身に組み込んだDUT投入プログラムを用いる方法があります。どちらもDUTモードに投入後は、RFテスターがRF測定ケーブル経由で試験モードコマンド発行して試験モードを制御します。
Bluetooth LE機器のRF PHY試験
BLEのRF PHY試験では、RFテスターからのテスト制御はWindows 7コンパチのCOMポート(RS232)またはUSBポート経由で行われます。
その他試験に必要なハードウエア改造
- アンテナ給電点近くのアンテナ信号パターンをカットし、SMA(メス推奨、オスでも変換アダプタで接続可)コネクタ付同軸ケーブルでRF(IC側のアンテナラインを引き出してください。ケーブルは機器外部に最低2㎝ほど出ていればテスターへの接続が可能です。
- 機器の電源を外部安定化電源から供給するためのリード線を引き出してください。充電池駆動機器では充電池を取り外して装置側の電池+とGNDラインを引き出してください。できれば赤リード線(+)、黒リード線(GND)を用いて、念のためテープ等に+、GNDを記入して先端に貼り付けてください。
具体的なテストサンプル作成資料・部品の入手方法
Bluetooth ICベンダあるいはモジュール搭載の場合はモジュールベンダがRFおよびRF PHY試験サンプル作成に関する①機器自身がDUTモード投入する場合のHCIコマンド説明書、②外部PCを接続するためのハードウエア改造説明書、③外部PCによるテストモード投入のためのテストツールと(USB接続の場合はデバイスドライバを含む)操作説明書、を準備しています。 Bluetooth ICベンダあるいはモジュールベンダからこれらの資料やテストツールを入手してください。
SMAコネクタ付同軸ケーブルは検索サイトで「SMA ピグテール」を検索すると数件ヒットします。
UART-RS232変換基板キットおよびD-Subコネクタは、秋葉原の秋月電子で以下のものが入手可能です。 http://akizukidenshi.com/catalog/g/gK-06464/
テスト実施に必要な機器情報
- テストサンプル結線図(写真)とテストモード設定方法説明書
- 定格電圧(V)
- アンテナ最大利得(dBi)
- アンテナ信号引き出しケーブルの推定ロス値(dB)
- UART接続の場合: Baudrate(kbps), Bit長、Start Bit長、Parity Bit有無、フロー制御有無