HDMI2.0がリリースされたのが2013年9月でもう既に4年が経過しており、昨年末にはとうとうHDMI2.1がリリースされました。
本日は、HDMI2.0に関連する問題として、身近で起きそうではありますが、インターネットで検索してもあまり詳細が出てこない接続性の問題について取り上げてみたいと思います。
以下は8年程前に発売された古いBlu-rayプレイヤーです。HDMI1.4がリリースされる以前の製品であり、HDMI出力としては1920x1080p60 36bit Deep Color対応です。
そしてこのプレイヤーを以下のHDMI2.0対応TV(HDMI1~3は10.2Gbpsまで、HDMI4は18Gbps/4K60P RGB対応)と接続します。
HDMI入力1では映りますが。。。
HDMI入力4では。。。
信号がありません。と表示され何も映ってくれません。
なぜ映らないのでしょうか。
HDMIプロトコルアナライザであるTeledyne LeCroy 980bで、TVのHDMI入力4のEDIDをエミュレートし、さきほどのプレイヤーと接続してみます。
2880x1080pのDVI?
そして、出力画がおかしいです。
HDMI入力1のEDIDを使用すると。。。
1920x1080p60のHDMIでYCbCr4:4:4 36bitで出力されています。出力画も綺麗です。
HDMI1.4bまでは、EDID内部で使用するData Blockとして、HDMI Licensing, LLC.(現HDMI Licensing Administrator, Inc.)のVendor-Specific Data Block(VSDB)が規定されており、全てのHDMIシンク機器はこのVSDBを持っています。
そして、HDMI2.0から、HDMI Forum, Inc.のHF-VSDBが追加で規定されており、HDMI2.0の新機能の大半はこのHF-VSDBで宣言することになっています。
ですので、ほとんどの4K60対応TVのEDIDにはこのHF-VSDBが存在しています。
実は、この新しいHF-VSDBが、今回の問題の原因です。
古いHDMI ソース機器の中には、今回のBlu-rayプレイヤーのようにHDMI2.0で新しいHF-VSDBが規定されるとは想定していなかったものがあります。その結果、EDIDの解析に失敗し、DVIモードで出力したり、規定外の信号を出力してしまうことが発覚しています。
以下はTVのHDMI入力4が持つEDIDで、青ブロックで示した部分がHDM2.0で規定されているHF-VSDBです。
こちらの青ブロックの部分のVSDBを削除すると。。。
問題なく映りました!
以上のようなことを受けて、HDMIでは新しいコンプライアンステスト項目を設けており、新規のHDMIソース機器ではこのような問題が起こらないように対処されています。また、最近では、設定でHDMI1.4b相当のEDIDに変えることが可能な4K対応TVもあります。
ちなみにHDMI2.1でも、こちらのHF-VSDBは使用されますし、HDMI2.1が参照しているCTA-861-Gでも新しいData Blockが規定されたり、今までReservedだった部分に機能が割り当てられたりしています。HDMIソース機器は、将来のシンク機器と誤動作を起こさないためにも、Reservedなどの扱いには十分注意する必要があります。
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