USB3.2 Gen1の動作時に高周波による2.4GHz帯への干渉(EMI: Electro-Magnetic Interference) があり、周囲のワイヤレスデバイスの動作不良を起こす恐れがあります。そのため、USB認証試験ではEMI試験を行い、USB3.2 Gen1機器のEMI対策を確認します。ただし、現状ではEMI試験の結果はinformationalとなっており、認証取得には影響を与えません。仮にEMI試験がFailとなっても、EMI試験以外の全ての試験項目がPassの場合は認証を取得できます。
EMI試験の測定方法
1. キャプティブケーブルではないDeviceやHubのUpstream Facing Portの測定
使用するReference Device: (USB-IFの推奨)
ワイヤレスマウス: Logitech M305 Wireless Mouse
PCの隣り合うUSB3.2 Gen1ポートの一方に1mのSuperSpeedのUSBケーブルでDUT(Device Under Test)、もう一方にワイヤレスマウスのレシーバを接続します。
DUTをSuperSpeedで動作させながら、ワイヤレスマウスのレシーバを接続したUSBポートから1.06m(3.5フィート)の距離で半径180度の範囲でワイヤレスマウスを動かし動作を確認します。
上記試験を実施した後、DUTとワイヤレスマウスのレシーバの接続ポートを交換し、同様にDUTをSuperSpeedモードで動作させながら、ワイヤレスマウスの動きを確認します。マウスカーソルが全く動かない、或いはわずかしか動かない場合はEMI試験はFailと判断されます。
接続図
2. キャプティブケーブル(俗にピッグテールなどと呼ばれる)のデバイスやドングル(例USBメモリ)の測定
基本的な手順は上記1と同様です。1と異なる箇所はワイヤレスマウスのレシーバを接続したUSBポートからの距離が1.06mではなく、0.76m(2.5フィート)となる点です。
接続図
3. HostやHubのDownstream Facing Portの測定
使用するReference Device: (USB-IFの推奨)
ワイヤレスマウス: Logitech M305 Wireless Mouse
USB メモリ: Team S112 USB Disk (32GB)
DUTのDownstream Facing Port(USB3.2 Gen1)の一つにワイヤレスマウスのレシーバ、その隣接ポートにUSBメモリを接続します。
USBメモリをSuperSpeedで動作させながら、ワイヤレスマウスのレシーバを接続したUSBポートから一定の距離Xを保ちながら、半径180度の範囲でマウスを動かし動作を確認します。
DUTのDownstream Facing Portの構成により距離Xはそれぞれ以下の通りになります。
接続図
USBメモリがSuperSpeedモードで接続されているかどうか、USBメモリの動作中(ファイル読み込み・書き込み)にワイヤレスマウスの動きが正常かどうか、が確認ポイントです。
まとめ
USB3.2 Gen1の機器は2.4GHz帯に電波を出し、ノイズが発生してしまいます。
同じく2.4GHz帯を使用するワイヤレス機器をその近傍で使用するとEMI問題を生じる恐れがあります。そのため、USB3.2 Gen1の機器自身のEMI対策は重要です。コネクタ部にノイズフィルタを適用したり、グランドを強化したり、シールドしているUSBケーブルの使用したりすることでEMI問題はある程度回避できると考えられます。