本日(2024年8月27日)、USB-IFからアナウンスされた“USB-IF Conformity to IEC 62680 Specifications Program”(USB-IF IEC 62680規格適合性プログラム )は、(EU) 2022/2380 無線機器指令改正版(Common Charger Directive)に対応するための新テストプログラムです。ここでのIEC 62680とはIEC 62680-1-2とIEC 62680-1-3という規格を指しており、具体的には以下のUSB規格になります。
・USB Power Delivery Specification: IEC 62680-1-2:2020
・USB Type-C® Cable and Connector Specification: IEC 62680-1-3:2022
一方、(EU) 2022/2380 無線機器指令改正版(Common Charger Directive)では消費者の利便性を確保し、電子廃棄物を削減し、市場の分断を防ぐために、特定のポータブル電子機器カテゴリーにUSB Type-C充電インターフェースの使用を義務付けています。
この指令は特定の種類の無線機器が有線充電をする際、IEC 62680に準拠したコネクタ、ケーブル及び充電手法を採用することを必須条件として定めており、ノートパソコン以外は2024年12月28日から、ノートパソコンは2026年4月28日から対応することが義務付けられています。これにより電子廃棄物を削減し、消費者の利便性を向上させることを目的としています。
USB-IF適合性プログラムの主な特徴
1. EU指令の影響: この指令は、メーカーが消費者に一貫性のある相互運用可能な充電ソリューションを提供することを義務付けており、それによって電子廃棄物を削減し、利便性を向上させます。USB Type-Cは世界的に使用されており、また高い電力供給能力および急速充電ソリューションをサポートする能力のため、共通充電インターフェースとして選ばれました。
2. 適用範囲と対象: このプログラムは、USB Type-Cコネクタ、ケーブル及びUSB Type-Cを搭載した製品に焦点を当てています。これらの製品がIEC 62680規格に適合していることを確認し、EUの規制枠組みに従うことを目的としています。
更にUSB-IF適合性プログラムは対象製品としてExternal Power Supply(EPS)を含んでいます。EPSは (EU) 2022/2380 無線機器指令改正版(Common Charger Directive)の中に記載されている対象製品ではありませんが、様々な理由でIEC 62680規格への適合が必要とする場合はEPSもUSB-IF適合性プログラムを利用することが可能です。
3. テスト要件: USB-IFは、適合性を示すために必要な特定のテスト要件を、各製品カテゴリーに対して設定しています。テストとしては、現時点五つの試験が設定されました。
- USB Type-C Functional Test
- USB Power Delivery Compliance Test
- USB Source Power Test
- End-Product Cable Test
- USB Type-C Cable & Connector Compliance Test
USB Power Delivery及びUSB Type-C規格に対応する製品は関連するコンプライアンステストに合格する必要があります。具体例として製品は電力を供給する機能がある場合、USB Source Power Test Specificationに従う必要があります。
4. 適合性通知書: OEM(Original Equipment Manufacturer)は、USB-IFから自社製品がIEC 62680規格に準拠していることを証明する公式ドキュメントをUSB-IFから受け取ることができます。製品がUSB-IF適合性テストに合格すると、「IEC 62680規格に対する適合性通知書」が発行されます。この通知は、この規格への適合が求められる地域において、市場参入を容易にするための適合性の証明として機能します。
このようにUSB-IFのIEC 62680規格適合性プログラムは、製品が新しいEU規制に準拠することを証明し、相互運用性を促進し、環境への影響を減らし、消費者の利便性を向上させます。テスト要件の詳細について引き続き次のセクションをご参照ください。
テスト要件
USB-IFのIEC 62680規格適合性プログラムのテスト要件は、(EU) 2022/2380無線機器指令改正版 (Common Charger Directive)によって設定された基準に製品が準拠することを証明するために設計されています。この適合性は、USB Type-CコネクタとUSB Power Delivery(USB PD)プロトコルを使用するデバイス間の相互運用性、安全性、および信頼性を促進するために重要です。
テストは、電気的性能から相互運用性に至るまで、製品の機能のさまざまな側面をカバーしています。以下は、新しいプログラムの主要なテストカテゴリーと要件です。
Test Specification | External Power Supply (充電器等) | USB Type-C Cable (no captive cables) |
Portable Battery-Powered Device (携帯、laptop等) | USB Type-C Connectors |
USB Type-C Functional Test Specification | X | X | X | |
USB Power Delivery Compliance Test Specification | X (*Note 1) | X | X (*Note 1) | |
USB Source Power Test (SPT) | X (*Note 2,3) | |||
End-Product Cable Test Plan | X | |||
USB Type-C Cable & Connector Compliance Test | X | X |
*Note 1: USB Power Delivery対応の製品のみに適用
*Note 2: 電源を供給する製品に適用
*Note 3: SPT 1-5のみ
1. USB Type-C機能的試験規格
• これらのテストは、USB Type-Cコネクタ、ケーブル、およびポートが機能仕様に従って正しく動作することを確認するためのものです。これには、Configuration Channel (CC)上での適切な通信、電源ロールの挙動(例:電源供給または消費)、およびデータロール検出が含まれます。
2. USBパワーデリバリコンプライアンス試験規格(CTS)
• USB PDプロトコルの順守を確認し、安全で効率的なPower Negotiationと供給を保証します。これは、15Wを超える電力レベルを処理する必要があるデバイスにおいて特に重要です。
3. USBソース電源試験規格
• USB Type-Cポートが仕様に従って正しく電力を供給できることを確認するためのテストです。これには、宣言された電力プロファイルへの準拠、電圧および電流の安定性の確認、および様々な供給状態の確認が含まれます。
4. エンドプロダクトケーブルテストプラン
• エンドプロダクトで使用されるUSB Type-Cケーブルをテストし、必要な機械的、電気的、およびデータの完全性基準を満たしていることを確認します。これにより、ケーブルが必要な電力とデータ転送速度を問題なく処理できることが保証されます。
5. USB Type-Cケーブルおよびコネクタコンプライアンス試験規格
• USB Type-Cケーブルとコネクタが、USB Type-Cケーブルおよびコネクタ仕様で定義された機械的、電気的、および信号要件に準拠していることを保証するためのテストです。これらのテストは、信頼性のある電力供給とデータ伝送に不可欠な物理インターフェースの完全性と性能を検証するために重要です。
登録プロセスと適合性通知書の取得フロー
プロセスとフロー: (EU) 2022/2380 無線機器指令改正版(Common Charger Directive)の対象の製品を、指令が適用される時期以降にEU域内で販売開始するメーカーは、USB-IFに製品を登録し、適合性テストを受ける必要があります。「IEC 62680規格に対するUSB-IF適合性」通知書をもらうためには、製品は指定されたすべての試験に合格しなければなりません。この通知書は、IEC 62680規格に準拠していることを証明するものであり、EU規制の下で市場への参入を可能にします。以下の表をご参照ください。

USB-IF Conformity to IEC 62680 (USB) Specifications Program Flow
これらの包括的なテスト要件は、USB Type-CおよびUSB PD製品が安全で相互運用可能で信頼性が高いことを保証するために重要です。これらの標準に準拠することで、メーカーはEUの規制に沿った製品を提供するだけでなく、電子廃棄物の削減と消費者の利便性向上に貢献します。
対象デバイスカテゴリー
(EU) 2022/2380 無線機器指令改正版(Common Charger Directive)は、有線充電を一般的に使用する13の特定の無線機器カテゴリーを対象としています。この指令の目的は、これらのデバイスにわたる充電ソリューションを標準化し、相互運用性を向上させ、電子廃棄物を削減し、消費者の利便性を向上させることです。対象となる13のクラスは次のとおりです:
1. 携帯電話
2. タブレット
3. デジタルカメラ
4. ヘッドホン
5. ヘッドセット
6. 携帯型ビデオゲームコンソール
7. ポータブルスピーカー
8. 電子書籍リーダー
9. キーボード
10. マウス
11. ポータブルナビゲーションシステム
12. イヤホン
13. ノートパソコン
これらのカテゴリーは、指令の影響を最大化し、大多数の消費者向け電子機器が普遍的な充電標準に従うことを確実にするために選ばれました。ノートPCに関しては2026年までにUSB Type-Cを使用した充電を要求することで、指令を拡大します。
このリストにUSB Type-Cケーブル/コネクタや外部電源供給装置(EPS)等は含まれていないですが、これらの機器は充電のエコシステムに欠かせないものですから、必然的にチャージャーやケーブル・コネクタ等に対しても相互運用性(USB Type-Cを使用し、USBパワーデリバリのプロトコルを対応すること)が要求されています。
重要:ラベリングおよびピクトグラム等の要件
USB-IFのIEC 62680規格適合性プログラムの確認項目としては含まれていないですが、上記の指令の実施を確実にするために、特定のラベリングおよびピクトグラム要件が設定されています。
1. ピクトグラム表示: パッケージやデバイスに充電器が含まれているかどうかを示す明確なピクトグラムを使用する必要があります。これにより、消費者は購入前に何を期待できるかを理解し、不必要な購入を減らすことができます。
2. 電力仕様: ラベルには、充電に必要な最小および最大の電力が表示される必要があります。これにより、消費者はデバイスの要件に合った充電器を選択できるようになります。これには、基本的な操作と急速充電に必要な電力が含まれます。
3. マニュアルへの記載: 充電に関する情報は、製品の説明書や安全情報にも含める必要があり、ユーザーが製品の寿命全体にわたって必要な詳細情報を提供されることを保証します。
これらの措置は、消費者が十分な情報を持ち、相互運用性のある充電器を簡単に識別できるようにすることで、電子廃棄物の削減に貢献し、循環型経済を促進します。
最後に
USB-IFのIEC 62680規格適合性プログラムはあくまで機器のUSB動作もしくは機能的な要件に対する検証プログラムとなります。USB検証でカバーできないその他のEUの要件については実際の指令を理解するのが重要ですので、EU指令を一通り確認されることを推奨します。
他にUSB-IFのIEC 62680規格適合性プログラムもしくは(EU) 2022/2380 無線機器指令改正版(Common Charger Directive)について不明な点がございましたら、以下の手段でご相談ください。本日より、弊社アリオンは本プログラムの試験依頼の受付を開始しました。
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