AJSC-1_FRL

Allion AJSC-1 SCDC/EDIDコントローラを使用したHDMIソース機器の測定

AJSC-1 SCDC/EDIDコントローラは、アリオン日本が開発した、HDMIのEDID・SCDCをコントロール・エミュレートできるツールです。EDIDのエミュレートに加え、SCDCのレジスタをコントロール・エミュレートができますので、HDMIの電気試験全般で活用することができます。
主に以下の機能を持っています。
・EDIDエミュレート・EDID編集機能
・SCDCエミュレート・コントロール
・+5V Power / HPDのエミュレートコントロール
・一部のHDMI 2.1コンプライアンステスト機能
・DDCモニタ機能

AJSC-1を使えば、HDMI機器の測定効率アップが可能となります。

今回はAJSC-1を使ったSource機器の電気試験についてご紹介します。
AMD製GPU RX580搭載のPCをDUTとして用いて、3840×2160 60P RGB 4:4:4 24bit のアイパターンを測定してみましょう。

DUT・オシロスコープへの接続

ソース機器を、HDMI用フィクスチャ(テストポイントアダプタ)を使ってオシロスコープへ接続します。
測定するTMDSクロックとデータペアはオシロスコープのプローブに接続しますが、
DDCやHPD、+5V Powerなどの制御用ラインはAJSC-1へ接続します。

測定しない他のTMDSデータペアも外部からターミネーションしておく必要があります。
ターミネーションには、アリオン製HDMI Load Boardが使えます。

EDIDの設定・DUTの信号出力

次にソース機器に 3840×2160で出力させるため、AJSC-1のEDIDを設定します。
3840×2160 60P 16:9はVIC(ビデオ識別コード)として97番がアサインされています。
AJSC-1の専用GUIよりEDID_4k_6G・VIC97を選択してSet EDIDをクリックします。
するとEDIDが切り替わり自動的にHPDパルスが発行されます。

4K60p 24bitのように1レーンあたりのビットレートが3.4Gbpsを超える場合は、TMDS信号にスクランブルをかけたり、データ・クロック比を10:1から40:1に変更する必要があります。
ソース機器はAJSC-1内部のSCDCにそのような情報を設定しに行くため、「SCRMB」,「 CR:1/40」のインジケータが緑色となります。

出力されているTMDSデータをオシロスコープで簡単に確認してみると、4K 60P RGB 24bitのビットレートある5.94Gbpsで出力されていることがわかります。

(黄色:TMDSクロック+、緑色:TMDSデータ0+、青色:TMDSクロック-、赤色:TMDSデータ0-)

アイパターンを測定してみますと以下のようになりました。
今回使用したDUTのアイパターンは、規定されたマスクに触れていなく問題がありませんでした。

このように、AJSC-1を使用してスムーズに4K 60Pの信号を測定することができました。
今回はキーサイトのオシロスコープを使いましたが、アリオン日本ラボではテクトロニクスのオシロスコープでも確認できます。

AJSC-1を使えばEDIDの変更や確認が簡単

HDMI のコンプライアンステストでは、480p60(270Mbps)、1080i(742.5Mbps)、4K2Kp24(2.97Gbps)など、主要なデータレートごとにアイパターンを取得する必要があります。しかしソース機器の中には、EDIDによって出力解像度が自動的に決まり、手動で設定できないものが多くあります。このようなソース機器の測定の場合、測定したい解像度に応じてフィクスチャのEDID用EEPROMを差し替えるといった方法が一般的に使われていました。この方法はとても手間がかかりますし、それでも出力できない場合は、EEPROMのEDIDデータをさらに変える必要も出てきます。

AJSC-1はEDIDを専用アプリから簡単に変更することができます。
標準で様々なEDIDが用意されていますが、どうしても所望のビデオフォーマットが出せない場合は外部ファイルのバイナリデータをインポート・エクスポートすることができます。

バイナリの他にTeledyne LeCroy (Quantum Data)社のxml形式にも対応しています。

そして、最近以下のようなEDIDエディタ機能が追加され、その場ですぐにEDIDを編集・確認することもできるようになりました。

最後に…

現在は、HDMI 2.1の新機能の1つであるFRL(Fixed Rate Link)へのサポートを着々と進めています。

参考:HDMI 2.1の新機能を搭載したデバイスがいよいよ登場!
https://www.ninshoshiken.com/hdmi%E2%80%902-1-main-new-features-and-cts-release-date/

以下は開発中のFRL用GUIです。また何かお話できる進展がありましたらご報告します。

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