HDMIの最新バージョンはHDMI2.1となっています。しかしHDMI 2.1の新機能に対応したデバイスはまた市場に登場していません。もしかしたら、HDMI 2.1に対応したケーブルをYoutubeなどで見かけたことがあるかもしれませんが、実はHDMI 2.1で新たに策定されたUltra High Speed HDMIケーブルのテストスペック(試験規格書)はまだリリースされておりません。
一般的にはテストスペックがリリースされ、そのテストスペックによる試験に合格した場合のみHDMI 2.1のサポートと表示することができます。
HDMIフォーラムによるとHDMI2.1のテストスペックは2018年の1Q~3Qの間に段階的にリリースされるということですので、いよいよ公開されるのではないかと思います。
“The HDMI 2.1 Compliance Test Specification (CTS) will be published in stages during Q1-Q3 2018, and HDMI adopters will be notified when it is available.”
そのような背景のもと、本記事ではHDMIフォーラムの資料を借りてHDMI2.1の重要な新機能を説明したいと思います。
HDMI2.1 Feature 1: Dynamic HDR
Dynamic HDRではフレーム毎にメタデータの使用により輝度や、コントラスト、色の深さ、または広色域を細かくコントロールできるのでより正確にシーンを表現できるようになります。例えば、映画には様々なシーンがあって、明るい時もあり、暗い時もあります。フレーム毎にメタデータを変えることによってその細かい調整ができます。
HDMI2.1 Feature 2: eARC
従来からあったARCの拡張として、HDMI2.1ではeARC(enhanced ARC)が策定されました。これまでのARCでサポートしていたオーディオは2ch.-48kHz LPCMまででしたが、eARCでは8ch.-192kHz LPCMまでのマルチチャンネル・オーディオや、Dolby True HD、DTS Master、Dolby Atmos、DTS:Xという最新のオーディオコーデックをサポートしています。詳細は下記の表を参照ください。
上記の表にある通り、デバイス間でeARCのディスカバリーやケーパビリティなどを把握するためのeARC Data Channelが新たに設けられました。このチャンネルについても認証試験で試験されます。
HDMI2.1 Feature 3: Variable Refresh Rate (VRR)
Variable Refresh Rate(VRR)は映像の遅れやどもっている現象などを防ぎ、よりスムーズなゲームエクスペリエンスをもたらす機能となります。シンク機器とソース機器の両方が本機能をサポートしていれば1秒毎のフレームレートが変動してもスムーズな映像を観ることができます。フレーム変動に激しいPCゲームなどに役立つHDMI2.1の新機能です。
HDMI2.1 Feature 4: 8K ~ 10K Video Resolution
HDMI2.0では、4K@60Hz 444を出力する帯域がありますが、今後8K@60Hz 444を出力したい場合はHDMI2.0では帯域が足りないと考えられます。そこでHDMI2.1ではより高解像度の映像の伝送のために、最大48Gbpsのデータレートがサポートされます。これにより従来の4K@60Hz 444の信号を4倍まで出力することができるので、非圧縮した8K@60Hzや4K@120Hzの信号も対応できるようになります。
上の画像ではパネルの大きさが同じの場合、勿論4Kに比べて8Kのほうが精細になります。また、ピクセルの大きさをそのままにした場合は精細度を維持したままパネルの大きさを4倍にできることになります。
8K@60Hz以上の映像を出力したいようでしたらビデオデータの圧縮技術(DSC: Display Stream Compression)を使用することになります。この技術を用いることで10K@60Hzなどのフォーマットまで対応することができます。
以上となります。この他にも細かな機能追加があると思いますが、ここで述べた機能が主な機能となります。次回はそれらの機能を実現したHDMI2.1での裏の技術を説明したいと思います。特にFixed Rate Linkや少し既に述べたDSC技術、HDMI2.1で新たに策定されたUltra High Speed HDMIケーブルについて説明したいと思います。
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