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SDメモリーカードについて

今日は、皆さんが既に使用されているSDメモリーカードについて、それらの基本的な情報をご案内をしたいと思います。

SDメモリーカード(以下SDカードと記述します)は、NAND型フラッシュメモリを使用して、SD規格に基づいた小型のメモリーカードで、現在では最も広く使用されているメモリーカードです。

SDカードの種類

SDカードは、その形状から、下表のように、SDカード, miniSDカード, microSDカードの3種類に分類され、サイズが異なることが第一の相違点ですが、それ以外にも誤消去防止スイッチの有無や接続端子数とその機能が相違点です。一般に販売されている上では、変換アダプターが同梱されていることが多く、アダプターを使えばこのこれらのサイズを気にせず接続できて便利です。

カードの種類 SD miniSD microSD
 幅    (mm) 24 20 11
 長さ  (mm) 32   21.5 15
 厚み  (mm)    2.1    1.4    1.0
体積  (mm3) 1,596 589 165
重さ (gr) 2 1~ 0.4~
 動作電圧 (V) 2.7~3.6
誤消去防止 スイッチ有
 端子数 9 11 8
代表的外観

規格によるSDカードの特徴

次に、技術的な側面では、次の表のように、SD, SDHC, SDXC, SDUCカードの4種類に分類でき、その物理的なサイズに依って、前述のように、miniやmicroのサイズが準備されています。

近年の技術革新と共に、大容量のNAND型フラッシュメモリーが製造できるようになり、またアプリケーションでの用途が広がってきたことから、SDカードとして実装できる容量帯が広がり、数年に一度、新しい規格とその名称が誕生しています。これらの技術面の大きな相違点は第一に容量帯ですが、それに伴ってフォーマット形式も異っており、例えば、皆さんがパソコンのストレージとしてもご存じのFAT16とFAT32の違いが、SDとSDHCに相当しています。

カードの名称 SD
microSD
miniSD
SDHC
microSDHC
miniSDHC
SDXC
microSDXC
SDUC
microSDUC
SD規格 2.0~ 3.0~ 4.0~
容量帯 ~2GB 4~32GB 32GB~2TB 2~128TB
フォーマット形式 FAT16 FAT32 exFAT exFAT
スピードクラス Class 2~10 Class 2~10
UHS
スピードクラス
I, II, II,I
Express
I, II, III,
Express
I, II, III,
Express
ビデオ
スピードクラス
V6~V90 V6~V90 V6~V90
アプリケーション
スピードクラス
A1, A2 A1, A2 A1, A2

SDカードのスピードクラス

ここで、特に理解をしておきたいのは、次表のように、数種類の「スピードクラス」と呼ばれる速度性能が定義されていることです。

連続順次性能の最低値 スピードクラス UHS
スピードクラス
ビデオ
スピードクラス
相応とされるビデオ録画
2 MB/s Class 2
(C2)
標準画質ビデオ(SD)の録画
4 MB/s Class 4
(C4)
ハイビジョン(高画質,HD)
ビデオの録画
6 MB/s Class 6
(C6)
Class 6
(V6)
10 MB/s Class 10
(C10)
Class 1
(U1)
Class 10
(V10)
フルハイビジョンの録画
30 MB/s Class 3
(U3)
Class 30
(V30)
2K~4Kビデオの録画
60 MB/s Class 60
(V60)
4K~8Kビデオの録画
90 MB/s Class 90
(V90)
8Kビデオの録画

SDカードのアプリケーションパフォーマンスクラス

アプリケーションパフォーマンスクラスについては、これらとは異なる IOPS単位で、次のように定められています。

アプリケーション
パフォーマンスクラス
ランダム読出し
(IOPS/秒)
ランダム書込み
(IOPS/秒)
連続順次
読出し/書込み
Class 1 (A1) 1.5K 0.5K 10~ MB/sec
Class 2 (A2) 4K 2K 10~ MB/sec

*IOPSとは、1秒当たりに実行可能な4KBサイズの読出し/書込みコマンド数を表します。

アプリケーションパフォーマンスクラス A1 :
SD 5.1規格で2016年11月に規定され、地図・写真・動画・音楽・辞書等のデータを単なる保存だけでなく、データの編集や更新などの処理速度に対応するクラスとして定義されています。主に、エントリー~ミドルレンジのスマートフォンのアプリケーション性能に向くとされています。

アプリケーションパフォーマンスクラス A2 :
SD 6.0規格で2017年2月に規定され、コマンドのキューイングやキャッシュ機能等がサポートされ、効率的なメモリの管理が可能になったり、ランダムコマンドのアクセスやマルチタスクのアクセス性能に対応するクラスとして定義されています。
コンシューマー機器のみでなく、エンタープライズ向けも含めた高性能な機器での使用を考慮されています。

まとめ

このように、近年のアプリケーションの広がりと共に、それぞれの用途に合わせたスピードクラスが準備されており、C10, U1, V10等のクラスがSDカードのラベルや本体上に記述されています。皆さんがお使いになるアプリケーションでの用途に合わせて、必要なレベルのスピードクラスに対応しSDカードをお使いいただくことが非常に重要です。

一例として、弊社で実施しました、ある相互接続性テストで経験した事象ですが、あるビデオカメラの取扱説明書には、撮影する高画質の動画モードには 「U3のSDカードが必要です」 と記述されていますが、その指定クラスよりも低い 「C10クラスのSDカード」 を使用した所、説明書通りに、動画を録画することが出来ませんでした。具体的には、動画の撮影が出来たように見えましたが、SDカードの内容を再生しようとするとエラーが発生して、再生できませんでした。

弊社では、企業様向けにこのような相互接続性の試験サービスを行っており、試験計画書の立案・ご提案から、テストの実施と結果のご報告に加えて、故障解析や技術的な考察のサポートまでサポートさせて頂いております。また、SDカードに使用されていますNAND型フラッシュメモリを使用していますので、長期間の繰り返し使用環境下では、消去・書込回数の制限や保持期間の制約などの信頼性が懸念されます。弊社ではこれらの試験や、設計・品質コンサルティングも、経験ある技術者がサポートさせて頂きます。ご要望のあるお客様は是非、ご連絡をお待ちしております。

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