FeliCaリーダライタ検定試験では、公開されている規定書に従ってテストをしますが、その内容は現在の状況に合わせて更新が行われます。2022年7月に互換性試験用カードが、同8月に検定規定書が更新されています。
今回は更新された内容についてご紹介します。
■ リーダライタRF性能試験規定書 Ver.1.52
2022年8月1日より リーダライタRF性能試験規定書 Ver.1.51から更新され、Ver.1.52として運用開始となっています。
リーダライタRF性能試験規定書 Ver.1.52での更新点は以下の通りです。
「6.5.1 基本性能試験」(Mクラスリーダライタ)と「6.6.1 基本性能試験」(Sクラスリーダライタ)
[更新内容]※オフセットに制限があり、規定のオフセットで測定できない場合は、オフセットできる限界点で測定を行う。
ただし、オフセットできる幅が 1mm 未満の場合は、そのオフセット点での測定は行わない。
※センターとオフセットの測定時に、高さに制限があって規定の最大通信距離の測定ができない場合は、高さの限界値まで測定を行う。
「6.5.2 互換性試験」(Mクラスリーダライタ)
[更新内容]※オフセットに制限があり、規定のオフセットで測定できない場合は、オフセットできる限界点で測定を行う。
ただし、オフセットできる幅が 1mm 未満の場合は、そのオフセット点での測定は行わない。
※センターとオフセットの測定時に、高さに制限があって、規定の最大通信距離の測定ができない場合は、高さの限界値まで測定を行う。
※互換性試験用モバイルが物理的に設置できない場合は、互換性試験用モバイルによる互換性試験は行わない。
▶ リーダライタ検定試験では、検定を受けるリーダライタと検定試験用カード/モバイルのお互いの中心点、及びX軸、Y軸方向に±10mmオフセットした位置で、高さ方向の位置を変化させ通信できるかを確認します。
リーダライタ製品の形状により、高さ方向が0mm(接触した状態)やX軸Y軸のオフセット±10mm移動することができない場合の試験条件です。
いままでと試験条件は変わりませんが、高さ制限とオフセット制限がある場合、「オフセットを優先し、高さを制限となる」となります。
「6.6.2 互換性試験」(Sクラスリーダライタ)
[更新内容]※オフセットに制限があり、規定のオフセットで測定できない場合は、オフセットできる限界点で測定を行う。
ただし、オフセットできる幅が 1mm 未満の場合は、そのオフセット点での測定は行わない。
※全ての互換性試験用モバイルが物理的に設置できない場合は、互換性試験用モバイルによる互換性試験は行わない。
▶ Sクラスのリーダライタ製品の互換性試験では高さ方向は0mmのみです。いままでと試験条件は変わりませんが、文脈を修正しています。
「6.5.1 基本性能試験」 「6.5.2 互換性試験」(Mクラスリーダライタ)と「6.6.1 基本性能試験」 「6.6.2 互換性試験」(Sクラスリーダライタ)
[更新内容]通信不可領域(センター、XY±オフセット限界点まで 1mm 単位/角度 0度)
▶ リーダライタ製品の形状により、オフセットの制限で全ての X軸Y軸±10mm が測定できず、かつ、高さ制限で全ての互換性試験用モバイルが設置できない場合の互換性試験用カードの固定方法について、従来は、「角度0度、180度/表、裏」の記載がありましたが、「角度0度」のみとなっています。最近はこのような事例が無いことによります。
■ 互換性試験用カード
2022年7月より市場動向に合わせて互換性試験用カードの入替えがあります。以下は従来との変化点抜粋です。
[更新内容]カード形式 | メーカー名 | 内容 |
SCF-D250 | 大日本印刷 | 削除: リーダライタ試験申請受付し、テスト用リーダライタ 2022年9月30日到着分迄有効 |
SCF-D860 | 大日本印刷 | 追加: リーダライタ試験 2022年10月1日到着分から有効 |
RC-S108 | ソニー | 削除: テスト対象外となっています |
RC-S120 | ソニー | 追加: リーダライタ試験 2022年6月よりテスト対象となっています |
RC-S128/1 | ソニー | 追加: リーダライタ試験 2022年6月よりテスト対象となっています |
▶ 互換性カードは、変更前は全17種類でしたが、現在は1種類増え18種類のカードを使って試験を行っています。基本性能試験のカードに変更はありません。2022年9月14日時点の情報です。以下より最新の情報をご確認ください。
検定基準カード製品一覧
https://www.felicatech.org/readerwriter/standard_list.html
■ 検定用リーダライタ制御用ソフトウェア
[更新内容]「6.4.2 要求項目:ソフトウェアの形式について」
“コマンドプロンプト上で引数による動作設定の変更を可能とするソフトウェア形式であり、バッチファイルなどから呼び出しての実行が可能であること。ただし、コマンドプロンプト上で、マクロを引数に指定して Terminal ソフトを実行する方法も許容可能である。”
▶ リーダライタ検定を申し込むお客様にリーダライタを制御するソフトウェアを提供いただいています。
効率よく検定試験が進められるよう、検定用のリーダライタ試験機材と制御用のソフトウエアの連携強化のため提供いただくソフトウエアはバッチファイルで実行できるようお願いしています。これまで通り、お客様開発によるGUIでもテストは可能ですが、2022年6月よりバッチファイルでの制御ができない場合は、検定試験料金が追加となっていますのでご注意ください。
ソフトウェアのガイドラインについては2022年11月公開予定です。
https://www.felicatech.org/readerwriter/rulebook.html
さいごに
アリオンではFeliCaリーダ・ライタの性能検定受検の事前検証の場として、追加となったカードなど評価に必要な機材をご利用いただけるFeliCa評価ラボを設置しております。
その他リーダライタ検定試験についてご不明な点がございましたら、お気軽にお問合せください。
https://www.allion.co.jp/certification/felica/