車載Ethernetとはその名の通り、自動車内に搭載するイーサネット通信の事であり、欧州の大手自動車メーカーや日系大手自動車メーカーもこの車載Ethernetの採用に前向きに取り組んでおります。そして、その車載Ethernetに関する標準化団体であるOPEN Alliance (One-Pair Ether-Net) Special Interest Group (SIG)が関連の規格等の策定をしております。
TC8とは
Open Alliance内では各グループ毎に車載Ethernetの規格策定等を行っており、それらグループをTechnical Committee=TC+#と呼んでいます。現在TC1~TC15までありますが、今回紹介するTC8テストはECU評価に関しての事です。因みに、ECUというのはElectronic Control Unit (電気制御装置)の略となります。
試験環境
主に下記機器を使って測定しますが、実際にDUTを上記オシロやネットワークアナライザに接続する為のFixtureも必要なります。但し、そのFixtureはDUT毎に異なる為、それぞれに対応したものを用意する必要があります。
・Infinium V-Series Oscilloscope
・Network Analyzer E5071C
今回紹介するTC8のPMAテスト項目
-OABR_PMA_TX_01: Transmitter output droop
-OABR_PMA_TX_02: Transmitter Timing Jitter in MASTER Mode
-OABR_PMA_TX_03: Transmit Clock Frequency
-OABR_PMA_TX_04: Transmitter Power Spectral Density (PSD)
-OABR_PMA_TX_05: MDI return Loss
-OABR_PMA_TX_06: MDI Mode conversion
※OABR= Open Alliance BroadR-Reach (Broadcom社が開発したEthernet物理層の技術の事であり、100BASE-T1としてIEEEで標準化されています)
※PMA=Physical Media Attachment
■OABR_PMA_TX_01: Transmitter output droop
・試験内容:トリガがかかったタイミングでの電圧ドループを測定する。Peak電圧とトリガポイントから500nsec後の電圧を比べて電圧ドループが45%以内であることを確認する。
+Vout Droop -Vout Droop
■OABR_PMA_TX_02: Transmitter Timing Jitter in MASTER Mode
・試験内容: トランスミッタの周波数とジッタを確認する。トータルジッタが50psを超えないことを確認する。
■OABR_PMA_TX_03: Transmit Clock Frequency
・試験内容: トランスミッタの周波数とジッタを確認する。送信クロックの周波数が規格準拠の範囲内であることを確認する。
■OABR_PMA_TX_04: Transmitter Power Spectral Density (PSD)
・試験内容: テストモード5で動作している間のトランスミッタ出力のPSDは、 下記に示されるトランスミッタのPSDマスク内に収まることを確認する。
■OABR_PMA_TX_05: MDI return Loss
・試験内容: DUTがリターンロスに対する限界値の条件を満たしていることを確認する。
■OABR_PMA_TX_06: MDI Mode conversion
・試験内容: DUTがモード変換ロスに対する限界値の条件を満たしていることを確認する。
終わりに
今後、この車載Ethernetの本格的な導入に向けて進んでいくことは間違いありません。このTC8 含めた車載Ethernetの試験についてご興味、ご質問等ある場合、別途当社にご相談ただければ対応致します。(但し、Fixtureについては前にも述べた通り、各DUT毎に異なるので別途ご相談させていただきます)
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