Type-Cケーブルには、表裏があるのか?

・はじめに

最近インターネットを閲覧していると、Type-Cケーブルについて「裏表がある?!」などを話題にしている記事をよく見かけます。

そういった記事をいくつか見ると、
・いつまでたっても接続できないから裏表を逆にしたら接続できた。
・なんか速度が遅いから表裏を逆にしたらスピードが上がった。
などが多く書かれていました。

・Type-CケーブルとType-Cコネクタについて

Type-Cケーブルは、結論から言うと裏表があります。

しかしケーブルが接続される側、例えばPCと携帯電話などに搭載されるType-Cコネクタでは、表と裏に該当する部分には点対称になっていてケーブルの向きが表であっても裏であっても、ケーブル側にあるCC(Configuration Channel)と言われる信号線で向きが検出・設定されるので、問題なく通信ができるようになっています。ケーブルの表裏の違いを、接続される側の回路にて吸収している形になります。

普通にType-C to Type-Cケーブルを使用して接続している場合、理論的には問題は起きないはずです。

ではなぜ問題が発生するでしょうか?

・接続問題について

他にもあると思いますが、主な理由としては以下のような事が考えられます
1. ケーブルが劣化している
2. コネクタが劣化している。
3. コネクタにゴミが付着している。
4. 変換コネクタを使用している。

1~3はケーブルを交換するか掃除すれば解決する可能性があるのでとりあえず置いておくとして、今回は4に注目しました。
Type-Cに関係する変換コネクタは、以下の2つが考えられます。

A. Type-C(プラグ) to Standard-A(レセプタクル)アダプター
PCなどがType-Cで、接続するデバイスが従来のType-AコネクタのUSB MEMORYや、Type-AとType-Bの従来のケーブルを用いたType-Bのデバイスであるときに使用する、Type-C(プラグ) to Standard-A(レセプタクル)アダプターです。

B. Standard-A(プラグ) to Type-C(レセプタクル)アダプター
PCなどがStandard-Aで、接続するデバイスがType-CのUSB MEMORYやデバイスのときに使用する、Standard-A(プラグ) to Type-C(レセプタクル)アダプターです。

・問題が発生する組み合わせ

この2つのアダプターの中でAのアダプターを使用する場合は、上記のゴミや劣化の問題が無いとすると問題は発生しないと思います。しかしBのアダプターを使用する場合は、問題が発生する可能性が考えられます。
Bのアダプターは接続するType-Cケーブルの向きにより、通信できない可能性があります。
BのアダプターはType-Cのレセプタクルコネクタを採用しています。レセプタクルコネクタを搭載している場合、Type-Cケーブルの向きによって内部の使用する経路を切り替えなければなりません。Bの方のアダプターは構造上切り替える事ができないので、ケーブルの向きが限定されてしまうわけです。

・対応策について

上記問題に対する対応策はあります。Type-Cのケーブルを受けるレセプタクルコネクタ側は、信号線が点対象になっていると前に書いたと思います。
レセプタクルコネクタ側の中央にはUSB 2.0の通信で使用する信号線が対称に配置されています。
USB 2.0の信号線のそれぞれをレセプタクルコネクタ側で接続してしまえば、USB 2.0の通信に限ってですが、ケーブルの向きに関係なく通信が可能となります。単純な対策なので変換アダプタに限らず多くの製品では接続してあると思われます。
ですがUSB3.2のSuperSpeedの場合は、その信号の速さ故に多大なる影響があると思われる為、単純に接続する事はできません。USB 3.2のSuperSpeedの信号線は、コネクタに対して両端に集中しています。これらを単純に結線すると、使用しない側の配線が長くて高周波的に無視できない為、使用している側の高周波特性を乱し、通信に問題を引き起こしかねません。接続するデバイスによりますが、結果として通信できないか、速度が非常に遅くなってしまう事が考えられます。

USB 3.2のSuperSpeedの場合の対策として考えられるのは、CCの配線を判断して信号線を切り替えるスイッチング回路を内蔵する事です。しかしこれらの回路を内蔵すると大きくなり、金額的にも高くなってしまうため、安価な変換アダプタとしては現実的ではありません。また内部の回路を動作させる為の電源の問題も発生するでしょう。このような回路は、電源が別にとれて大きさも確保できるポートリプリケーターなど向けかと思います。

なのでBに上げたタイプで安価な変換アダプタとしては、対策をとる事が難しく、ケーブルの差し込む向きが限定されてしまうか、ケーブルを差し込む向きによって通信速度が変化するアダプタとなってしまうのは、しょうがない事かと思います。

・最後に

Bに上げた変換コネクタ(Type-A to Type-C(レセプタクルコネクタ)アダプター)は、USB規格で定義されていない規格違反品です。
今後、USB4の普及に伴いType-Cもますます普及していくと思いますが、USB製品はUSB-IFの正規認証品を使用する事がおすすめです。正規認証品以外の物を使用する場合には、注意しないと接続ができなかったり目的の高速通信ができなかったりと無駄な買い物となってしまうかもしれません。正規認証品を使用しないデメリットがこういうところにあります。

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